機械仕掛乃宇宙

休日の世界の空気と時間は緩んでおり
通り抜ける風と音楽は心地好い
街が急いでいない
そもそも皆何を急いでいるのだらう
最期に向かう場所は皆おなじ

ひとりで居る時間は絶対的に必要だ
わたしの場合、同じ空間に他者の存在を感じると其れは「ひとり」ではないので
例えば喫茶店に一人で入って座っても其れは「ひとり」ではない

ひとりになると感覚が呼び覚まされる
すうっと いろんなものが入ってくる 出ていく
わたしをかたちづくる細胞を感じる
わたしである魂を感じる

曼珠沙華

秋と夏が布を織るようにぱったんぱったんと交互にやって来る
金木犀の匂い、揺れる陽炎、窓から差し込む光、有明月、星座の宮の替わり境
わたしは其れを全身と全霊で迎えるが何処かへ運ぶことはできない

脳を使って思考を適度に巡らせるのは刺激的で楽しい
深みに嵌ると抜け出せなくなるので加減が必要だが
月読尊と宇宙の話がしたい

一ヶ月間ぶりに東京へ行き帰ってきた
目に見えるものしか信じられない・認められない人々が多くて哀しかった
わたしは相も変わらず目に見えないものに引っ張り回せれてばかりで眩暈をおこす

最近は頻き頻き液体を零してしまうのだが
その度、偶然・自然の創り出す造形は何と美しいのだろうと気づかされる

還ろう

月の砂漠

世界の最果ての砂漠の中の 一本の白薔薇に為りたい
毎昼朽ちて散り 毎晩新しく咲き誇る
アンタレス 真紅な蠍の心臓を夢にみながら
アルケミストよ お眠りなさい
其れは全て蜃気楼か知らん

花や草木は決して一言も話しませぬ
その存在を以ってしてのみ己を表現します
言葉や脳や文明をもってしまった人間の
何と愚かなことでしょう

「砂漠にはふたつの月が在って其々が同時に昇る夜がくる」


幽玄


仰げば死んだ筈の花嫁の白い絹
葬儀の黒衣 纏いしレースのヘッドドレス
天青石の顔には ほんの幽かな翳り

儀礼
儀式
犠牲

はやく此処から連れ出してくれ
置いていかないで