氷は溶け落ち涙溢れ 運命の輪は廻る
大きな一枚 鱗の月
石像の庭 光の祈り
波際の音に耳を澄まして
その時その人にとって必要だっただけ
魔女
聖女
異端の神
異教徒
甘く瑞々しい無実の果実が
人間達が樹からもぎ取り美味しそうに頬ばるそれが
実はゆっくりと効く末梢から腐敗させる神経毒だったのだとしたら?
他人に何を云われてもいい
大切なものが何かはわかっている
「愛されたい」「もっとわたしをみて」
と泣き噦り叫んでいるわたしのなかに
ずっと踞っているわたし
差し出された愛も掬えずに
不知火
「もっと前から話したかったのに、大人になってしまった」
泣きながら笑う わたしを見ている
わたしは現実にいなかった