震え止まぬ天使の指
烏貝色した
爪に火を灯して
骨の髄まで業火を
焔蜥蜴の血を呑み
紅薔薇の紋章に
水晶を翳せば
やがて太陽が燦き
火が点くだろう
被造物
みちみちる聖杯
満ち欠けは月の如く
燦きは姦しいほどに
指の隙間から零れ落ちていく
変幻する女の髪を梳こうなど
サナトリウムの慟哭
その美声で水夫を欺し沈めるセイレーン
「復讐は生きる糧にもなるでしょ」
水辺で遊ぶニンフたち
綺羅、鱗が剥がれ落ちる
陸の世界では生きられぬオフィーリア
「知っていることには重みがあるわ。あくまでも死ぬために生きるのよ」
悠久の古に
概念を組み立てる
まっさらな白群と冷血
眠りの砂城
瑪瑙の中で草木は枝葉を伸ばし
絡み合い
やがてはそれ自体を
覆い尽くし喰い尽くしてしまう
砂糖まみれの辰砂
知りすぎたわたしたちは
想像力を失う
眠っているのか
それとも死んでいるのか
腕時計の玻璃を割って
その針を盗みなよ