2015年9月27日日曜日

機械仕掛乃宇宙

休日の世界の空気と時間は緩んでおり
通り抜ける風と音楽は心地好い
街が急いでいない
そもそも皆何を急いでいるのだらう
最期に向かう場所は皆おなじ

ひとりで居る時間は絶対的に必要だ
わたしの場合、同じ空間に他者の存在を感じると其れは「ひとり」ではないので
例えば喫茶店に一人で入って座っても其れは「ひとり」ではない

ひとりになると感覚が呼び覚まされる
すうっと いろんなものが入ってくる 出ていく
わたしをかたちづくる細胞を感じる
わたしである魂を感じる

2015年9月23日水曜日

曼珠沙華

秋と夏が布を織るようにぱったんぱったんと交互にやって来る
金木犀の匂い、揺れる陽炎、窓から差し込む光、有明月、星座の宮の替わり境
わたしは其れを全身と全霊で迎えるが何処かへ運ぶことはできない

脳を使って思考を適度に巡らせるのは刺激的で楽しい
深みに嵌ると抜け出せなくなるので加減が必要だが
月読尊と宇宙の話がしたい

一ヶ月間ぶりに東京へ行き帰ってきた
目に見えるものしか信じられない・認められない人々が多くて哀しかった
わたしは相も変わらず目に見えないものに引っ張り回せれてばかりで眩暈をおこす

最近は頻き頻き液体を零してしまうのだが
その度、偶然・自然の創り出す造形は何と美しいのだろうと気づかされる

還ろう

2015年9月9日水曜日

月の砂漠

世界の最果ての砂漠の中の 一本の白薔薇に為りたい
毎昼朽ちて散り 毎晩新しく咲き誇る
アンタレス 真紅な蠍の心臓を夢にみながら
アルケミストよ お眠りなさい
其れは全て蜃気楼か知らん

花や草木は決して一言も話しませぬ
その存在を以ってしてのみ己を表現します
言葉や脳や文明をもってしまった人間の
何と愚かなことでしょう

「砂漠にはふたつの月が在って其々が同時に昇る夜がくる」


2015年9月2日水曜日

幽玄


仰げば死んだ筈の花嫁の白い絹
葬儀の黒衣 纏いしレースのヘッドドレス
天青石の顔には ほんの幽かな翳り

儀礼
儀式
犠牲

はやく此処から連れ出してくれ
置いていかないで