蜘蛛

眠りに落ちる前
意識の糸が蜘蛛の糸のように
細く細く辛うじて続いている状態で
あゝ夢がはじまった と
見え始める瞬間がある
しかしそれはすでに制御不可能
関係性も意味もわからないイメージ
めくりめく溢れ出す映像を
ただ映画のスクリーンを眺めるように
それはまるで廻瀾のように 煙浪のように

そうしているうちに
すべてが真っ暗闇
落ちる

秋雨

此の文章を書こうと思っていたところ
突然に雨が屋根を包んだので驚いた。
まるで天の神様にわたしの思考が聞こえてしまったようだと思った。
雨のことを書こうと考えていたところだったから。

雨の唄には好きな曲が多い。

秋雨の音を聞くと小学生のときに書いた詩のことを思い出す。
詩集に応募して入選したが掲載されるまでには至らなかった詩。
たしかその詩にはお終いに林檎が登場する。
あの頃は林檎の象徴学的な意味など識らずにいた。
何も識らなかったが楽しかった。夢中だった。

幼き日々のことをよく思い出す。

物語には必ず代償が在る。
人魚姫は声と引き換えに人間の脚を手に入れた。
ラプンツェルは長い髪と引き換えに自由を手に入れた。
幼い頃は人魚姫にいちばん憧れた。浴槽はわたしの七つの海だった。

自由になりたい。
広い世界が見たい。
まだ知らないことを知りたい。
何と引き換えに?

人には其々感情があるが
人の沢山いるところ、それこそ東京のような大都会にいると
そんな当たり前の認識すら薄れて消えかかってしまう。
感情と引き換えに高度文化を手に入れるか、問う。

大人と子供の「自由」はちがう。
子供は夢中になる瞬間「自由」になれるが
大人は自覚や責任がないと「自由」になれない。
子供の場合そこに自覚など必要なかった。況してや責任など。
そんなものはとうに超越していた。本人の気づかぬうちに。

子供の心をもったまま大人に成った人に出逢うとすぐにわかる。
そういう人は瞳が輝いている。綺麗に澄んだ瞳。

半陰陽

外界との接触が無い限り内側では「異常」に気づかぬ。


テレビを見ていた家の人が「男か女かわからない顔だ」と言った。
何故男か女かはっきり判るよう居なければならないのか更々解せなかった。
身体など魂の容れ物に過ぎないというのに。
わたしがいちばんに魅力を感じるのは半陰陽、つまりandrogynosの者たちである。
古来から男と女は月と太陽であった。対であった。
さてこの場合、男と女、どちらが陰でどちらが陽か。
ギリシャ神話では太陽神アポロンは男神である。対して月を司るは女神アルテミスである(彼等は兄妹でもある)。
日本神話では天照大御神は女神、月読尊は男神とされている(面白いことに彼等も姉弟である)。
北欧神話も太陽神はソールという女神だが、世界的に太陽神は男神である場合が多く女神であることは珍しい。
人間ならば其々の小宇宙の中に太陽も月も在るだろうとわたしはおもう。

陰翳礼讃。

狐火

わたしより絵の上手い人、歌の上手い人、撮るのが上手い人、文章の上手い人、容姿の端麗な人、なぞ沢山いる。

只々わたしは自分が生きていた証を残したいだけなのです。
それは「美」への敬意や祈りにも似た。


来世は19世紀の終りか20世紀頃アメジストの瞳をもつアルビノのペルシャ猫になって代々の主人を狂わせると決めている。

言葉は

矢となりて盾となりて

心が言葉になることはあっても
言葉が心になることはない

柘榴石

十字架の丘
モン・サン=ミシェル
厳島神社
ウユニ

潮の満ち引きと月の満ち欠けの関係

貴方の瞳は酸素にふれた血の色