緑萌える菜の花畑に
雛罌粟のささめごと
緋の紅葉を踏み躙り
六花凍てつき垂れる
思慮深くほどけていく夜に
すこしずつ秋の涼しさ
凛
はやく
湯気が眼に見えてゆらめくくらい
寒くならないかしら
甘いカラメルのような
体温と
星空と
痛みさえ
愛しく思ふ
生命の強さ
染まる切先
屠るる血汐
此処のウィンナ珈琲は仄かに甘くて安心する味がする。
不安定になってしまったときのことは平常時はあまりよく覚えていない。
自分の中に違う人間が巣食っているような気がする。
帷が落ち、訪れる。
煙草はもう吸えなくなったが、誰かが吸っている香を嗅ぐのは好きだ。
「只、生きているだけでいい」
そう云って欲しかった。
それだけなのに。
汝の身のまわりの人々、境遇は決して汝の装飾品ではない。
汝の進むべき道を灯す宝玉なのだ。
鎧で身を固め、付け焼き刃で戦っていては前には進めぬ。
永久に。